- 修飾語と被修飾語の違いは?
- 連体修飾語と連用修飾語ってなんなの?
- 修飾語の簡単な見分け方が知りたい!
本記事では。修飾語と被修飾語について、現役Webライター兼編集者が例文を使いながら解説します。修飾語、被修飾語の簡単な見分け方や、文章を書くときのコツも紹介します。
修飾語と被修飾語を使いこなし、ワンランク上の文章を書きましょう。
修飾語・被修飾語の意味って?文法の基本を説明
修飾語は他の文節をくわしく説明する文節、被修飾語は修飾語によって説明される文節を指します。
「被」には「~される」という意味がありますから「修飾するのが修飾語で、修飾されるのが被修飾語」と覚えましょう。
では修飾語・被修飾語の理解を深めるため、例文で確認しましょう。
- 文章を分かりやすく書きます。
- 文章を昨日書きました。
- 文章を教室で書きます。
上記の例文では、それぞれ「分かりやすく」「昨日」「教室で」が「書く」を説明していますね。よって「分かりやすく」「昨日」「教室で」が修飾語、「書きます」が被修飾語に当たります。
また修飾語か被修飾語かは、絶対的なものではなく、相対的に決まります。わかりやすく言えば、ひとつの文章で、ある文節が修飾語にも被修飾語にもなり得るということ。
具体的に、例文を使って考えてみましょう。
丁寧な文章を書きます。
上記の例文の「文章を」は、修飾語か被修飾語のどちらでしょうか。答えは「どちらでもある」です。
「丁寧な文章」と切り取ると、「文章を」は「丁寧な」に説明される被修飾語で、反対に「文章を書く」にフィーチャーすると「書く」を説明する修飾語となるからです。
つまり修飾語・被修飾語を探す際は「なにについての話題なのか」を前提にする必要があります。
修飾語と形容詞の違い
他の文節を修飾する文節と聞くと、形容詞となにが違うのか疑問に思うことでしょう。もちろん物事の性質や状態を修飾するという共通点はあるものの、修飾語と形容詞はそもそも属するカテゴリが異なります。
修飾語は文の成分に、形容詞は品詞に属する概念です。
文の成分とは、各文節の役割を表す概念であり、主に下記の5つで成り立っています。
- 主語
- 述語
- 修飾語
- 接続語
- 独立語
一方品詞は、単語の性質を分類したもので、具体的には下記の10種類です。
- 動詞
- 形容詞
- 形容動詞
- 名詞
- 副詞
- 連体詞
- 接続詞
- 感動詞
- 助詞
- 助動詞
上記のように、形容詞と修飾語は前提とする話題が異なっています。そのため切り取り方次第で、文章の中で修飾語かつ形容詞に当たる言葉もあります。
では例文を用いて、理解を深めましょう。
難しい英語の問題を解きました。
上記の中で形容詞は「難しい」のひとつです。「難しい」は「英語」を説明していますから、「難しい」は修飾語かつ形容詞になりますね。
一方「英語の」は、修飾語ではありますが、名詞+助詞によって構成されていますから、形容詞ではありません。
形容詞は品詞のひとつ、修飾とは文の成分のひとつと覚えておきましょう。
被修飾語と述語の違い
被修飾語と述語も、文の成分における概念なので、その違いがわからなくなりがち。しかしその定義は異なっており、述語は「どうする、どんなだ、いる」を表す文節であり、被修飾語は修飾語によって説明される文節を指します。
まず修飾語は、主語や述語、ほかの修飾語を説明する文節のこと。そのため述語が被修飾語になることもあります。
実際に、例文で考えてみます。まずは下記文章の、述語を探してみましょう。
- 便利な機能がありますよ。
- 手紙を書きます。
1つ目の例文では、「ありますよ」が述語です。一方修飾語は、主語「機能が」を修飾する「便利な」ですから、被修飾語≠述語だとわかりますね。
一方2つ目の例文では「書きます」は述語であると同時に、「手紙を」に修飾される被修飾語でもあります。
すこし複雑になりましたが、被修飾語は修飾語によって説明させる文節、述語は「どうする、どんなだ、いる」を表す文節と、その違いを覚えておきましょう。
2種類の修飾語の違い
修飾語には下記の2種類があります。
- 連体修飾語
- 連用修飾語
修飾語がどの言葉にかかるかによって決まりますから、どちらか見分けるときは被修飾語の品詞に注目しましょう。
連体修飾語|体言にかかる
連体修飾語は、体言(名詞)を含む文節にかかります。
では、例文で確認してみましょう。
- 国語の宿題が終わりました。
- 簡単な言葉で話しますよ。
1つ目の例文の「国語の」は、「宿題が」に、2つ目の例文の「簡単な」は「言葉で」にかかっていますよね。
名詞の「宿題」「言葉」が含まれた文節を修飾していることから、「国語の」と「簡単な」は連体修飾語だと判断できます。
体言を修飾するのが連体修飾語と考えると覚えやすいですね。
連用修飾語|用言にかかる
連用修飾語は、用言(動詞、形容詞、形容動詞)を含む文節にかかる修飾語のこと。
見分け方は、連体修飾語と同様で、修飾語がかかっている言葉の品詞で判断しましょう。
- 国語の宿題が終わりました。
- 簡単な言葉で話しますよ。
上記の文章では、それぞれ「宿題が」は「終わりました」に、「言葉で」は「話しますよ」を説明しています。
それぞれ動詞を修飾していますから、これらの文節は連用修飾語に該当しますね。
用言を修飾するのが連用修飾語と暗記しましょう。
修飾語・被修飾語を見分ける方法
続いては、文章の中で修飾語と被修飾語を見つける方法を紹介します。修飾語を見分けるために必要なのは、下記の2ステップ。
- 文節で区切る
- 2つの文節を並べて意味が通じるか確認する
たとえば下記の例文を題材に、形容詞「面白い」はどの文節を修飾しているか考えてみましょう。
昨日面白い本を読みました。
文節で区切る
まずは文章を文節で区切ります。
文節とは、意味が通じる最小単位の言葉のグループのこと。1つの文節に、自立語は1つしかないのがルールです。
では上記の例文を、文節単位で区切ってみます。
昨日/面白い/本を/読みました。
2つの文節を並べて意味が通じるか確認する
次に区切った文節を2つ並べ、意味が通じるか確認します。
- 面白い→本を
- 面白い→昨日
- 面白い→読んだ
「面白い→本を」以外は意味が成り立ちませんから、「面白い」の被修飾語は「本を」だと分かりますね。
もしいくつかの文節でも意味が通じるように思えたときは、それが副詞でないか考えてみましょう。
副詞は動詞、形容詞、副詞を修飾する品詞ですから、なににかかっているか判断が難しいケースもあります。
副詞の被修飾語を探すときは、その副詞が他にどのように使われるか置き換えてみましょう。例を挙げます。
ゆっくりと/分かりやすく/意味を/解説します。
- ゆっくりと→分かりやすく
- ゆっくりと→意味を
- ゆっくりと→解説します
一見どれも意味が通じる気がしますが、「ゆっくりと」は、主に動作を修飾する副詞です。たとえば「ゆっくり歩く」「ゆっくり寝る」のように、動作の状況をくわしく描写するために使われます。
例文で動作を表しているのは「解説します」ですから、「ゆっくり」がかかるのは「解説します」だと判断できるのです。
修飾語と被修飾語を使うときのコツを解説
最後に、修飾語と被修飾語を操り、ワンランク上の文章を書くためのポイントを紹介します。
修飾語を使うと表現が具体的になり、読み手がイメージしやすい文章を書けます。しかしただ言葉を並べるだけでは、逆に読みにくい文章になることもあるため、注意が必要です。
そこで修飾語と被修飾語を使って文章を書くときは、下記の5ポイントを意識してみてください。
- 修飾語と被修飾語はできるだけ近づける
- 長い修飾語は短い修飾語よりも先に書く
- 長い修飾語が2つ以上あるときは、2文に分ける
- 二重表現を避ける
- 時間や場所を表す大きい修飾語は前に持ってくる
どれも取り入れやすいものですから、ぜひチャレンジしてみましょう。
修飾語と被修飾語はできるだけ近づける
まず修飾語と被修飾語は、できるだけ近づけて使いましょう。
読者は前から順番に意味を解釈していくため、修飾語と被修飾語が離れていると伝えたい意図とは異なって伝わる場合があります。
たとえば「問題集がすごいこと」を伝えたいときの例文で見比べてみましょう。
すごい学者が解説した問題集です。
上記の例文では、おそらく「すごい学者」と読み取れるはずです。
問題集がすごいと伝えたいのなら、ストレートに下記のように書きましょう。
学者が解説したすごい問題集です。
もちろんどちらの文章も文法的に誤りはありませんが、順番ひとつで意味が変わることがわかるでしょう。
「さすがにこんな間違いしないよ」と思うかもしれませんが、修飾語・被修飾語が離れるのはあるあるです。2つの意味で解釈できる箇所がないか、十分注意してみましょう。
長い修飾語は短い修飾語よりも先に書く
一文の中に長い修飾語と短い修飾語が混在するなら、長い→短いの順で書きましょう。
シンプルな初心者でも実践できる方法ですね。
「初心者でも実践できる方法」はわかりやすいのですが、「シンプルな」がどこにかかるのかわかりづらいはずです。その原因は、修飾語の順番にあります。
では「シンプルな」と「初心者でも実践できる」を入れ替えてみましょう。
初心者でも実践できるシンプルな方法ですね。
修飾語と被修飾語の関係がわかりやすいため、スラスラと読み進められるはず。
長い修飾語を先に置き、修飾・被修飾の関係をわかりやすくしましょう。
長い修飾語が2つ以上あるときは、2文に分ける
一文の中に長すぎる修飾語が2つ以上ある場合は、2文に分けましょう。修飾語が長いと文章の構造が複雑になり、読みにくさの原因になります。
では一文の例文と、2文に分けた文章を読み比べてみましょう。
紀元前1500年頃にエジプトで書かれたと推測される、西洋美術において重大な意味をもつといわれる、貴重な壁画が発見された。
上記の文章では、下記の3つの修飾語が「壁画」を説明しています。
- 紀元前1500年頃にエジプトで書かれたと推測される
- 西洋美術において重大な意味をもつといわれる
- 貴重な
最後まで読まないと文章がどこに着地するのかわかりづらく、結局なにが言いたい文章なのか伝わりにくいはずです。
このレベルで複雑な修飾語が並ぶ場合は、2文に分けるのがおすすめです。
紀元前1500年頃にエジプトで書かれたと推測される壁画が発見された。これは西洋美術において重大な意味をもつといわれる、貴重な歴史遺産だ。
上記の文章では、それぞれの文章が伝えたいことがわかりやすく、すっと読み進められるはず。一文を短くまとめ、わかりやすい文章を書きましょう。
このように、ひとつの文章に伝えたいことをひとつに絞ることを「一文一義」といいます。
二重表現を避ける
二重表現とは、同じ意味をもつ言葉を重ねて使うことです。修飾語と同じ意味を持つ言葉は、1文の中では使わないのが賢明です。
たとえば下記のような文章は、よくある間違いです。
- このノートを買うのは、おもに女性が多いです。
修飾語「おもに」は、述語「多い」と意味が重なっているため、どちらかが不要な表現です。片方はなくても意味が通じますから、どちらかを削りましょう。
- このノートを買うのは、おもに女性です。
- このノートを買うのは、女性が多いです。
少しでも文字数を減らし、読み手の負担を減らすためにも、二重表現を見つけたらどちらか一方を絞りましょう。
時間や場所を表す大きい修飾語は前に持ってくる
時間や場所を表す大きい修飾語は、できるだけ前に持ってきましょう。大きい状況を表す修飾語を先に書くほうが、理解しやすい文章になります。
- 文章を上手く書くための講義が1月に開催されました。
- 幼児向けに作成された絵本が関東限定で販売されます。
文法に誤りがあったり、意味が誤解されたりするわけではありませんが、なんとなく読みづらいと感じるはずです。それは「1月」や「関東限定」などのスケールの大きな修飾語が、文の後半で出てくるからに他なりません。
- 1月に文章を上手く書くための講義が開催されました。
- 関東限定で幼児向けに作成された絵本が販売されます。
悪い例文と打って変わって、時間や場所を前に書くと文章が読みやすくなったはず。
順番に迷うときは、5W1Hの順番で書くのがおすすめ。あの桃太郎の冒頭も「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、いました」と「いつ、どこで、だれが、何をした」の順番で書かれています。
歴史を超えて語り継がれる文章を参考に、大きい状況から順番に書いていきましょう。
まとめ|修飾語と被修飾語を理解すれば、文章がスッキリする
修飾語は他の文節をくわしく説明する文節、被修飾語は修飾語によって説明される文節を指します。
修飾語と被修飾語を見分けるには、まずは文節に区切り、言葉を並べて意味が通じるか考えてみましょう。
修飾語と被修飾語を使って文章を書くときは、下記の5つのポイントを意識してみてください。
- 修飾語と被修飾語はできるだけ近づける
- 長い修飾語は短い修飾語よりも先に書く
- 長い修飾語が2つ以上あるときは、2文に分ける
- 二重表現を避ける
- 時間や場所を表す大きい修飾語は前に持ってくる
言葉を説明するために修飾語を使っているにもかかわらず、読み手に誤解を招いては本末転倒ですよね。
当記事で紹介したポイントは取り入れやすいものばかりですから、伝わりやすい順序でわかりやすく文章を書いていきましょう。