主語と述語の関係とは?主語・述語の見分け方や注意点を解説

主語と述語の関係とは?主語・述語の見分け方と使い方を解説
  • 主語と述語の関係ってなに?
  • 文章の主語と述語を見つける方法が分からない…
  • 主述のねじれについて例文つきで教えてほしい!

当記事では、文章の基本となる主語と述語の関係や主述のねじれについて、例文を使いながら解説します。

3ステップで主語・述語を見分ける方法も解説しますから、自分の文章を「なんだか読みにくいな…」と感じる方は、ぜひご覧ください。

目次

主語と述語の関係とは?国語の基礎文法を説明

主語と述語の関係とは「誰が(なにが)」を表す主語と、「どうする、どんなだ、何だ、いる」を表す述語の結びつきのことです。

日本語の文章は、主語と述語が基本単位であり、どれだけ複雑な文章にもシンプルな主語と述語の関係が成り立っています。

たとえば下記の文章では、どれが主語と述語に当たるか考えてみましょう。

例文

私が文章を書きました。

これだけシンプルな文章であれば、主語と述語の関係もわかりやすいはず。動作主体の「私が」が、動作「書きました」を説明する構成ですから、「私が」が主語で「書きました」が述語ですね。

主語と述語の関係が見えると「何がどうした」の文章のサビの部分がわかるため、文章の読解に役立ちます。

日本語の主役は述語

では、日本語において重要なのは、主語と述語どちらでしょうか。主語が重要なイメージもありますが、実は文章の核は述語です。

たとえば下記のように、主語を穴埋めにした例文1と、述語を穴埋めにした例文2を見てみましょう。

例文
  1. 〇〇が文章を書きました。
  2. 私は〇〇だ。

例文1のケースで、〇〇に入る言葉は「私」「弟」「上司」「隣人」などです。動作の主体が異なるだけであり、「誰かが文章を書いた」という文章の方向性は変わりません。

一方例文2は、〇〇に入る述語次第で文章の意味は大きく変わります。

  • 私は理解しました
  • 私は長女です
  • 私は早起きしました

このように述語は、文章における舵のような存在です。文章を書くときや読むときには、まずは述語に注目しましょう。

主語と主題の違い

文章には、主語・述語の他にも主題をあらわす文節があります。

主題とは、文章におけるテーマのこと。文章の主体を表す主語とは異なり、主題は何についての文章なのかを表します。

では下記の文章で、主語と述語、主題がどれか考えてみてください。

例文

象は鼻が長い。

上記は主題を語るときの定番のテーマで、言語学者・三上章さんの書籍のタイトルにもなっています。

述語は「長いです」だとわかりますが、主語は「象は」「鼻が」のどちらでしょうか。もし「〜は」に当たる文節が主語だと覚えていたのなら、「象は」が主語だと思うかもしれませんね。

しかしこの文章の主語は「鼻が」。なぜなら「長い」のは「象」ではなく「鼻」だからです。

仮に「象は」が主語だとすると、主語と述語が「象は長い」となり、文章の意味が通じません。

あくまでも述語「長い」に対応する「鼻が」が主語であり、「象は」は、文章のテーマを表す主題に当たります。

主題に当たる文節は「〜に関しては」と言い換えられ、たとえば例文は「象に関しては、鼻が長い」と言い換えられます。

言葉が主語なのか主題なのかの判断が付かないときは「〜に関しては」で当てはめてみてください。

3ステップでOK!主語と述語の見分け方

続いては主語と述語を見分ける方法を紹介します。

複雑な文章でも、下記の3ステップに沿って考えれば、主語と述語の関係が浮かび上がります。

  • 文節で区切る
  • 述語を見つける
  • 述語に対応する主語を探す

主語と述語を見つけられると、文章の構成が理解しやすくなります。書き手が伝えたいことを読み解く力が身につくのはもちろん、ひいては文章を書く際にも軸を意識しながら執筆できるようになるでしょう。

1.文節で区切る

主語と述語を見分ける第1ステップは、文章を文節で区切ること。

文節とは、文章の中で意味が通じる最小単位の言葉のことを指します。これだけではわかりにくいはずなので、例文を用いながら文節について考えてみましょう。

例文
  • 友人は国語が得意です。
    →友人は/国語が/得意です。
  • それは兄が育てている植物ですよ。
    →それは/兄が/育てている/植物ですよ。

たとえば「友人」は自立語なので成り立ちますが、助詞の「は」は1語だけでは意味が通じません。そのため意味が通じる最小単位は「友人は」となります。

小学校の国語の授業で、「『ね』を入れても不自然ではない箇所が文節の区切れ」と習ったこともあるかもしれません。例外はあるものの、文節を見分けられますから、ぜひ「ね」を入れる方法を試してみてください。

2.述語を見つける

文章を文節に区切ったら、「どうする、どんなだ、何だ、いる」に当たる述語を探しましょう。

例文
  • 友人は/国語が/得意です
  • それは/兄が/育てている/植物ですよ

例文だと「得意です」「植物ですよ」が述語に当たります。

述語は文末に位置することが一般的ですから、迷う場合は文末をチェックしましょう。

述語は日本語の核となる要素ですから、読み手の言いたいことを正確に理解するためにも述語を意識するクセを付けてみてください。

3.述語に対応する主語を探す

述語を見つけたら、あとは対応する主語を探すだけです。主語と思われる言葉を見つけたら、述語と並べて意味が通じるか確認しましょう。

例文
  • 友人は/国語が/得意です。
  • それは/兄が/育てている/植物ですよ。

1つ目の例文では、何が「得意」なのか考えてみましょう。

「友人は得意です」と成り立つため、「得意です」の主語は「友人は」だとわかります。「国語が」は述語の対象なので、主語ではなく連用修飾語です。

では「植物ですよ」の主語はどれでしょうか。

主語の可能性がある「〜は、〜が」の文節を、それぞれ比較します。

  • 「それは植物ですよ」
  • 「兄が植物ですよ」

兄はおそらく植物ではありませんから、「植物ですよ」に対応する主語は「それは」です。

ここでは「〜は、〜が」の文節を主語を探すヒントとして紹介しましたが、「〜も、〜こそ、〜さえ」も主語の文節になりますから、助詞だけに注目してはいけません。述語と並べて意味を考えることで、適切な主語を見つけましょう。

なお日本語の文章では、前後の文章の流れから主語が省略されることも往々にしてあります、主語が見つからない場合もあると覚えておきましょう。

主語と述語の関係の注意点・よくある間違いを紹介

最後に、主語と述語の関係でよくある間違いを紹介します。

  • 主述の関係を理解しないとねじれた文章になる
  • てにをはが乱れていると主語と述語の関係がわかりにくくなる
  • 同じ主語が連続すると稚拙な印象になる
  • 受動か能動か?主語によって述語を選ぼう

主語と述語が正しく機能していないと、違和感のある文章になってしまいます。以下の4点を注意し、読みやすい文章を書いていきましょう。

主述の関係を理解しないとねじれた文章になる

主語と述語の関係が乱れていることを、ねじれといいます。ねじれは読みづらさの原因になるだけでなく、文章の意味が変わってくることもあるため、文章を書く際にはできるだけ注意しましょう。

悪い例文

妹の特技は、整った字を書きます

上記の主語と述語のみ抜き出すと「特技は書きます」となりますが、これでは意味が通じません。なんとなく意味はわかりますが、読んだ後にモヤモヤとした気持ち悪さが残るはず。

もし主語と述語がねじれたら、主語か述語の片方を、もう一方に対応するように修正しましょう。

よい例文
  1. 妹は、整った字を書けます
  2. 妹の特技は、整った字を書くことです。

述語「書きます」にそろえるなら、主語を「妹は」と修正すると、「妹は書けます」となり、日本語として問題ありません。あるいは主語「特技は」に合わせるなら、述語を「書くことです」に直します。

とくに一文が長く複雑になるほど、主語と述語の関係が分かりにくくなり、ねじれた文章になりやすくなります。できるだけ一文を短く、シンプルにして文章のねじれを防ぎましょう。

てにをはが乱れていると主語と述語の関係がわかりにくくなる

てにをはとは、助詞の総称のこと。

たとえば「国語好き」と「国語好き」で受ける印象が異なるように、てにおはの選び方ひとつで文章のニュアンスや意味が変わります。

当然主語と述語をつなぐてにをはが乱れていると、主語と述語の関係がわかりにくくなるため、とくに注意が必要です。

悪い例文
  • 文法の問題提示されています。
  • 昔、英語が苦手でした。

〜は、〜がは、主語を表すてにおはではあるものの、上記の文章では違和感がありますよね。適切な助詞を使わなければ主語と述語の関係が見つけづらく、上記のように読みにくい文章になります。

よい例文
  • 文法の問題提示されています。
  • 昔、英語が苦手でした。

助詞はたった数文字しかありませんから、目視で確認するだけでは見逃しがち。一方声に出すことで、てにをはが乱れている部分に気づきやすくなります。

音読は、てにをはだけでなく、さまざまな文法の誤りに気づきやすくなりますから、声に出して確認するクセを付けてみてください。

同じ主語が連続すると稚拙な印象になる

日本語の文章では、同じ主語が連続すると稚拙な印象になるため注意しましょう。

一例として、下記の文章を見てみてください。

悪い例文

私は毎朝7時に起きます。私は朝ごはんの前に勉強をします。私が好きなのは朝のさわやかな空気です。

「私は」と明記することで、主語と述語の関係は分かりやすくなるものの、同じ主語が続くと読書感想文のような、子どもっぽい文章に感じるはずです。持って回ったくどい表現があると、読みやすい文章とは言えません。

よい例文

私は毎朝7時に起きて、朝ごはんの前に勉強をします。朝のさわやかな空気が私のお気に入りです。

同じ主語の短い文章が続くなら、一文にまとめましょう。1文目では、起きる→勉強するの流れができあがっているので、文章をまとめても違和感はありません。

さらに文章の印象を変えるためにも、語順ごと変えるのもおすすめの方法です。2文目では「私が」から「空気が」に主語を変えて、主語が連続しないように工夫しました。

文章で大切なのは、読みやすさです。表現に迷ったときは、どの文章が読みやすいかの観点で比較し、判断しましょう。

受動か能動か?主語によって述語を選ぼう

主語と述語の関係を語る際、能動態と受動態のどちらを選ぶかも重要なテーマです。

「〜される」のような受け身形の表現を受動態、「〜する」のような主体的な表現を能動態といいます。どちらを選ぶかの基準は、主語が生物なら述語を能動態に、無生物なら述語を受動態にすると覚えておくといいでしょう。

悪い例文
  • 数学の先生が公式を説明されます
  • 論文が学会で発表しました

「先生が説明される」は敬語表現なら意味が通じますが、その場合でも少し違和感がありますよね。また「論文が発表しました」も、ファンタジーな文章です。

よい例文
  • 数学の先生が公式を説明します
  • 論文が学会で発表されました

主語が生物なら能動態に、無生物なら受動態に直したことで、問題なく意味が通じる文章になりました。

主語と述語の関係を適切にするためにも、能動・受動は主語に合わせて判断しましょう。

ただし擬人法は、このルールの例外に当たります。「風がささやく」のように、無生物を人間のように喩えるときは、無生物でも能動態になりえます。

まとめ|主語と述語の関係を意識して、分かりやすい文章を書こう

主語と述語の関係は「何がどうした」を表す関係のことで、文章構成の軸になる部分です。軸がしっかりしている文章ほど、読み手に伝わる、わかりやすい文章になります。

主語と述語の関係がわかりやすい文章を書くためにも、下記の4点に注意しましょう。

  • 主語と述語をねじれさせない
  • てにをはは丁寧に選ぶ
  • 同じ主語が連続させない
  • 主語によって受動か能動かを選ぶ

一文が長くなればなるほど、主語と述語の関係がわかりづらくなります。伝えたいことを絞って、短くシンプルな文章を書くのがコツです。

主語と述語の関係を意識して「何がどうした」を適切に伝わる文章を書いていきましょう。

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