- 係り受けってなに?
- 文章のねじれってのも正直良くわからない…
- 係り受けが正しい文章を書く方法は?
本記事では、係り受けの意味やねじれについて、例文付きで解説します。
さらに係り受けが正しい文章を書くためのポイントを3つ紹介。
係り受けの3つのポイントを意識すれば、言葉の関係がわかりやすくなり「何がどうした」という文章の核になる要素がはっきりするでしょう。
係り受けの正しい文章が書けるようになれば、読みやすい文章が書けるだけではなく、ビジネスシーンやプライベートの連絡にも役立ちますから、ぜひご覧ください。
係り受けの意味を解説!日本語文法を復習しよう
係り受けとは、言葉同士の関係性のこと。
ある言葉が他の言葉を説明することを「係る」、ある言葉が他の言葉に説明されることを「受ける」といいます。よって係り受けは「係る文節と受ける文節の関係性」と覚えられますね。
日本語文法における係り受けの基本ルールとして、独立後以外の言葉は、係る文節・受ける文節のどちらかに分けられます。
では例題として、次の文章の係り受けを考えてみてください。
- 彼女が本を読みました。
上記の文章では、「彼女が」が「読みました」を説明しています。また「本を」も「読みました」に係りますね。
そのため係っているのは「彼女が」「本を」で、受けているのは「読みました」とわかります。
このように、係り受けを理解することは、文章の構造を理解することと同義です。つまりわかりやすい文章を書くには、文章の骨組みである係り受けを意識することが重要になるわけですね。
係り受けの種類は2つ!ねじれた文章に注意
ここでは係り受けの種類について解説します。日本語文法の基礎となる係り受けは、下記の2種類に分けられます。
- 主語・述語に関する係り受け
- 修飾語・被修飾語に関する係り受け
係り受けの文脈では、主語と述語のみが意識されがちですが、修飾語と被修飾語の関係も含まれます。
たとえば「彼女がむいてくれた、赤いリンゴ」という言葉には、「彼女がむいてくれた」と「赤い」が「リンゴ」を修飾しています。ここにも係ると受けるの関係が成立していますね。
正しい係り受けが意識できなければ言葉と言葉の結びつきに違和感が生まれ、読みづらい文章が出来上がります。
以下では、そんな文章のメロディラインに該当する係り受けについて、その種類ごとに注意点を説明します。
主語と述語の係り受けが乱れると、主述のねじれが起こる
まずは、主語・述語の係り受けにおける注意点を確認します。
日本語は「AはBである」のように、「誰(なに)がどうした」というのが文章の基本単位です。しかし、てにおはの使い方や不適切な単語を使うなどが原因で、主語と述語が対応しない文章が出来上がることもあります。
このように、主語と述語の係り受けが乱れることを、主述のねじれといいます。
私の長所は、上手な絵を描けます。
主語と述語だけ抜き出してみると、「長所は、描きます」となり、文章の意味が通じませんね。このような文章は、主述のねじれの代表的な例です。
上記の文章を、正しい係り受けとなるように書き換えてみましょう。
- 私は、上手に絵を描けます。
- 私の長所は、上手な絵を描けることです。
「私は、描けます」「長所は、描けることです」と、主語と述語がきちんと対応していることがわかります。
文章が長くなればなるほど、主述のねじれは起こりやすくなります。まずは主語と述語だけを抜き出して、意味が通じるか確認してみましょう。
「そもそも主語・述語とは?」「もっと詳しく主述のねじれについて知りたい」という方は、下記の記事をあわせてご覧ください。
修飾語と被修飾語の係り受けがわかりにくいと、意味の解釈が難しくなる
続いて修飾語・被修飾語の係り受けの注意点について見てみましょう。
修飾語と被修飾語を使う際は、なにがなにを修飾しているのかが明瞭かを確認しましょう。
わかりやすい日本語で書かれた説明文です。
上記の文章では「わかりやすい」が日本語に係るのか、それとも説明文に係るのかがパッと見ではわかりません。このように、修飾節が2つ以上ある文章には、下記の2パターンでアプローチするのがおすすめ。
- わかりやすい、日本語で書かれた説明文です。
- 日本語で書かれた、わかりやすい説明文です。
1つ目は、修飾語の間に読点「、」を打ち、言葉の関係性をはっきりさせるやり方。読点を入れることで文章の切れ目がわかりやすくなるため、係り受けも正しくなりやすくなります。
しかしこれでも「わかりやすい」だけが宙に浮いているような違和感を感じるかもしれません。
それに対するアプローチが、長い修飾語を先に持ってくる方法。2つ目の文章のように「日本語で書かれた」を先に持ってくると、なお係り受けがわかりやすくなります。
とくに長い修飾語を使う際は、なにが修飾語で、なにが被修飾語なのかを明確にするように意識してみてください。
修飾語と被修飾語についてより理解を深めたい方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。
適切な係り受けのポイントを例文つきで説明
係り受けについて説明しましたが、次は「どうやったら係り受けが正しい文章が書けるのか」が気になるはず。そこで続いては、正しい係り受けの文章を書くポイントを、例文つきで紹介します。
- まずは述語を起点に考える
- 主語と述語だけで成り立つか確認する
- 一文は短く、シンプルにする
上記の3つのポイントを意識して、係り受けのわかりやすい文章を書きましょう。
まずは述語を起点に考える
係り受けの正しい文章を書くには、述語を起点に考えるのがおすすめです。
たとえば「日本語の特徴」について書きたい場合で考えてみましょう。
日本語は、ストレートな表現を好まないことが特徴です。
上記の文章では「特徴です」が述語に当たります。適切な係り受けの文章にするには、「Aが特徴である」という形に当てはめる必要があるため、主語は「ストレートな表現を好まないこと」になります。
あるいは「好まないことだ」を述語にしたいのなら「日本語の特徴は、ストレートな表現を好まないことです」と書き換えられますね。
このように、なにを述語にするかによって、適切な主語は変わります。まずは文中の述語を見つけて、主語は適切かどうかチェックします。
主語と述語だけで成り立つか確認する
述語を見つけたら、主語と述語を抜き出して文章が成り立つかをチェックしてください。
主述がねじれていなければ、抜き出した2文節だけでも意味が通じます。
弟の日課は、寝る前に本を読みます。
上記の主語と述語だけを抜き出すと「日課は、読みます」となり、文章として成立しません。
もし主語・述語だけで意味が通じないときは「述語を主語に合わせる」もしくは「主語を述語に合わせる」、「主語と述語を入れ替える」の3つの方法を試してみましょう。
では上記の例文を、3パターンでそれぞれ書き換えてみます。
- 弟の日課は、寝る前に本を読むことです。
- 弟は、日課として寝る前に本を読みます。
- 寝る前に本を読むことが、弟の日課です。
上記はそれぞれ「日課は、読むことです」「弟は、読みます」「読むことが、日課です」が主語と述語に当たり、意味が通じることがわかります。
主語と述語が対応していれば、係り受けの観点から言えばひとまずOK。文章を読み、なんとなく違和感を覚える場合は、主語と述語を抜き出して意味が通じるか確認してみましょう。
一文は短く、シンプルにする
誤った係り受けの文章を書かないためには、できるだけ一文は短く、シンプルにすることが大切。文章は長く複雑になればなるほど、言葉同士のつながりが分かりにくくなるからです。
では、一文が長い例文を見てみましょう。
名作映画には、時代を超えて愛される魅力があり、映画から生まれた名言もあり、映画鑑賞が趣味の方も多いのです。
読点で区切られている文章のかたまり自体の意味は通っていますから、一見すると違和感なく読めるかもしれません。しかし主語と述語に注目すると「趣味の方が、多いのです」となり、前半のほとんどの部分が本筋に関わらない文節であることがわかります。
また「映画」というワードが3つも出てくることから、いくつかの文章に分けると読みやすくなるでしょう。
名作映画には、時代を超えて愛される魅力があります。映画から生まれた名言もありますね。それらの理由から、映画鑑賞が趣味の方も多いのです。
こうすることで係り受けもわかりやすくなり、リズムのいい読みやすい文章になります。
ひとつの文章で伝えたいことは、ひとつに絞るのがベター。この一文一義を意識し、短くシンプルな文章に仕上げると、伝えたいことがはっきりした文章になります。
覚えておこう!係り受けのお決まりパターン
最後に、係り受けに関して「呼応の副詞」を紹介します。
呼応の副詞とは、係る文節の形が決まっている副詞のこと。たとえば下記のような副詞を指します。
- 決してルールを破りません。
- おそらく傘が必要になるでしょう。
- なぜ存在を忘れていたのでしょうか。
呼応の副詞では、「決して〜ない」「おそらく〜だろう」「なぜ〜か」のように受ける表現が決まっています。
呼応の副詞を使う場合は、対応する文末表現の基本ルールを守りましょう。
下記に代表的な呼応の副詞を表にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
分類 | 副詞と呼応 |
---|---|
打ち消し | 決して~ない 全然~ない 少しも~ない めったに~ない まさか~ないだろう よもや~ない |
推量 | おそらく~だろう たぶん~だろう きっと~でしょう |
疑問・反語 | なぜ~か どうして~か |
仮定 | もし~たら たとえ~ても |
希望・願望 | どうか~ほしい ぜひ~たい |
喩え | まるで~ようだ ちょうど~ようだ |
まとめ|係り受けのルールを理解すれば、文章がガラッと変わる
係り受けとは、係る言葉と受ける言葉の関係性を指し、文章の骨組みとなる重要な部分です。係り受けのわかりにくい、ねじれた文章では、読み手に読みづらい印象をあたえてしまいます。
係り受けの適切な文章を書くために、下記の3つを意識してみましょう。
- まずは述語を起点に考える
- 主語と述語だけで成り立つか確認する
- 一文は短く、シンプルにする
どれも簡単に意識できるポイントですから、次に書く文章からぜひ意識してみてください。