文章を書くうえで、読点の位置に悩んだことはありませんか?あるいは文章を読んでいる際、読点の有無で読みづらいと感じた経験はありませんか?
実は読点の使い方をマスターすることで、読者にとって読みやすい文章が書けるようになるんです。
当記事では、現役Webライター・編集者が読点の6つの基本ルールを紹介します。ライターとして文章を仕事にしたい方は、ぜひご一読ください。
日本語における読点の役割を解説
日本語の文章では、句点「。」や読点「、」が使われます。意図的に句読点を使わない文章を除けば、ほとんどの文章で読点も目にするでしょう。
しかしそもそも、何のために読点を使うのか、読点の役割とは何なのかご存知ですか?読点の役割を改めて理解することで、より読みやすい文章を書きやすくなりますから、ここでは読点の主な役割を2つ紹介します。
文章を区切って意味を分かりやすくする
読点の基本的な役割は、文章の中で意味の区切りを分かりやすくすること。読点がない文章は意味の切れ目がわかりづらく、誤解を生みやすいのがデメリットです。
たとえば、以下の例文をご覧ください。
- 読点を使えば読みやすい文章が書けるが読点が不必要に多い文章はかえって理解しづらい文章になってしまう。
- 読点を使えば読みやすい文章が書けるが、読点が不必要に多い文章はかえって理解しづらい文章になってしまう。
読点を使わない箇所が長くなればなるほど、文章の読みづらさは顕著になります。そのため文章の中で、意味が区切れるところには、読点を打つようにしましょう。
読点で読みやすいリズムを作る
読点には、文章にリズムをあたえ、読みやすくする役割もあります。
一説によると、読点は音読していて息継ぎをする箇所で打つものとされています。つまり黙読するときでも、読み手が「一息つきたいな」と感じる箇所で読点を打ち、リズムを生み出すことが求められるわけです。
では、例文で確認してみましょう。
- 彼女は授業中国語の問題でカッコや疑問符の位置が適切か問われた。
- 彼女は授業中、国語の問題で、カッコや疑問符の位置が適切か問われた。
上の文章を読むと、最初から最後まで一息で読まなくてはいけません。一方で読点を適度に入れた文章では、意味を一つひとつ確認しながら読み進められるため、読むハードルも下がりますよね。
読点のない文章は、息継ぎなしで25mプールを泳ぐのようなもの。読点の有無でパッと見の印象は大きく変わりますから、適度に休憩スポットを設けてあげましょう。
例文あり!読点の基本ルール6か条
読点を打つうえでは不正解はあっても、正解はありません。しかし読点を打つとより読みやすくなるポイントがいくつかあります。そこで続いては、読点の基本ルールを6つ紹介します。
読点の使い方に気を配るだけで文章がぐんと読みやすくなり、読者にとって非常に理解しやすい文章になります。
文章を書く機会の多い人は、以下のルールを守れているか、ぜひ確認してみてください。もし初めて知るルールがあれば、ライティングスキルを高めるよい機会です。ぜひ自分の文章に取り入れてみましょう。
1.ひらがなや漢字が続く箇所に付ける
ひらがなや漢字が連続する場合、読点で区切るようにしましょう。パッと見でに読みにくかったり、意味の取りちがいが発生したりするため、読点を打ってあげると親切です。
まずは読点を使わない例文を挙げてみます。
- それではあなたはどこに行きたいですか?
- 明後日注釈部分の解説をします。
それぞれひらがなと漢字が連続しており、すらすらと読み進めるのは難しいはず。ではこれらの文章を、次のように書き換えてみましょう。
- それでは、あなたはどこに行きたいですか?
- 明後日、注釈部分の解説をします。
たったひとつ読点を打っただけで、読みやすさがまるで変わることがわかりますね。文章の中で、ごちゃごちゃっとしている箇所には読点を打ち、メリハリを付けてあげましょう。
2.並列する言葉を説明するときに使う
並列する事柄をまとめて述べるときは、語句の間に読点を付けることで読みやすくなります。
- おすすめの副業はライティング、プログラミング、動画編集などです。
- 日本語では感嘆符、疑問符、括弧、句読点などの符号が使われます。
上記のように、言葉を列挙するときは、単語と単語の間に読点を使うことで、わかりやすく説明ができます。
3.主語や述語が変わる位置に区切りとして付ける
1つの文章の中にいくつかの主語や述語がある場合は、文章に区切りをつけるために読点を付けましょう。理解を深めるため、例文を1つ紹介します。
- 彼女は教科書の一部を省略してもいいと言ったが私は先生が言ったことが正しいと思う。
- 彼女は教科書の一部を省略してもいいと言ったが、私は先生が言ったことが正しいと思う。
逆説の助詞「が」を堺に、主語が「彼女」から「私」に変わります。
途中で主語が変わる文章では、読点がないと主語の切り替わりに気がつけず、支離滅裂な印象をあたえることも。主語が変わるところで読点を打ち、主体が変わることを示してあげましょう。
4.前後の因果関係を明確にするために使う
原因と結果の関係を分かりやすくするためにも、読点が役立ちます。因果関係がはっきりしない文章は、読者の理解度を下げてしまいますから、説得力に欠けます。例文を見てみましょう。
- この部分には逆接の接続詞が使われているから筆者の主張が書かれているだろう
- この部分には逆接の接続詞が使われているから、筆者の主張が書かれているだろう
理由:逆説の接続詞が使われている
主張:筆者の主張が書かれているだろう
上記の論理構造に気づくには、助詞「から」を見つける必要がありますが、読点がなければ他の言葉に埋もれてしまいます。
とくに論理性の求められるビジネス文書やWeb記事において、因果関係をわかりやすく伝えるためにも、原因と結果の間に読点を打ってあげましょう。
5.修飾語をわかりやすくするために使う
1文にいくつかの修飾語を使うときは、その関係を明確にするためにも読点が使えます。下記の2つの文章を比べてみましょう。
- 私は昨日テレビで見たライティングの書籍が欲しい。
- 私は昨日テレビで見た、ライティングの書籍が欲しい。
上の文章では文節の切れ目がわかりづらく、どの言葉がなにに係るのか判断しづらいはず。前から順番に読んでいくと「テレビで見たライティング」が現れ、混乱しますよね。
一方後者の文章では、「テレビで見た」と「ライティング」の間に読点が打たれることで、両者が「書籍が」を修飾する文節だとがわかりやすくなります。
このように、文章の中で修飾語が複数ある場合は、読点を使って意味の切れ目を示してあげましょう。
6.長い主語を強調するために付ける
主語が長くなる場合は、どこまでが主語なのかをはっきりさせるために読点を使います。
もしかすると「主語の直後に読点を打つ」と覚えていたかもしれません。しかし読点は、あくまでも文章の意味をわかりやすくするためのもの。そのため「私は本が欲しい。」くらいのシンプルな文章なら、読点を打たなくても十分に意味は理解できます。
ただ、下記のように主語が長くなると、どれが主語なのか判断が難しくなります。
- 句読点や接続詞の使い方についてまとめている本が私が今一番欲しいものだ。
- 句読点や接続詞の使い方についてまとめている本が、私が今一番欲しいものだ。
1つ目の例文では読点がないため、どこからどこまでが主語なのか考えるだけでも一苦労。一方2つ目の例文なら「句読点や接続詞の使い方についてまとめている本が」の後に読点があるため、そこで一度意味が区切れることを伝えられますね。
余白がなく、黒で覆われている文章は、読み手の心理的なハードルを上げ、それが文章が最後まで読まれない原因にもなるため、注意してください。
意外と知らない句点・読点の基本原則
文章を書くうえで、ほかにも知っておくべき句読点の基本原則を紹介します。
文章そのものを読みやすくするコツはもちろん、慣習的なマナーについても触れます。知らないと相手に失礼な印象をあたえたり、常識のない人だと思われたりするかもしれません。
句読点に関して知らないルールはないか、ぜひ確認してみてください。
一文に読点が3つ以上連続する場合は注意
1つの文章に読点が3つ以上あるときは、文章自体が不必要に長くなっている場合があります。文章が長ければ、読点の位置を工夫しても読みにくくなるため、短くシンプルにまとめることをおすすめします。
読点が3つ以上続くときは無理に一文にまとめず、句点を打って文章を切り分けましょう。
- 読点をうまく使えば、ライティングスキルが上がり、読者にとってより読みやすく理解しやすい文章が書けるようになります。
- 読点をうまく使えば、ライティングスキルが上がります。そうすれば、読者にとってより読みやすい文章が書けるようになります。
どちらの文章も意味は変わりませんが、下の例文のほうが短くまとまっていて読みやすいはず。とくに助詞の「が」を使えば、関係のない文章でもいくらでもつなげられますから、順接の「が」は使わないよう意識しましょう。
一文一義を意識して、一文をシンプルに仕上げましょう。
文頭の読点は賛否あり
最初の文節の直後に読点を打つことには賛否ありますが、当メディアでは、基本的には打たないことをおすすめしています。
理由は、文のはじめに読点を打つと、読書感想文のような稚拙な印象を覚えるからです。
- 昨日、私は歴史を勉強しました。中でも、本能寺の変が印象に残りました。また、豊臣秀吉の刀狩りにも、興味を覚えました。これからも、歴史について学びたいと思います。
- 昨日私は、歴史を勉強しました。中でも本能寺の変が印象に残りました。また豊臣秀吉の刀狩りにも、興味を覚えました。これからも歴史について、学びたいと思います。
もちろん個人差はあると思いますが、2つ目の例文のほうがスマートさを感じませんか?
文頭に読点を打つと、文章の構造がわかりやすくなるメリットはあるものの、ひらがなが続いて読みづらいなどの事情がないかぎり打たないことをおすすめします。
公用文ではカンマ「,」から読点「、」が一般的に
長い間、公用文でカンマ「,」を使うことが正しいとされてきましたが、近年読点「、」の使用が正しく認められてきていることをご存じですか?
昭和27年に取り決められた「公用文作成の要領」において、横書きの場合は読点としてカンマ「,」を用いるように定められていました。しかしパソコンやインターネットの普及にともない、読点「、」が一般的に使われるようになりました。
その実態を踏まえ、令和4年に新しい「公用文作成の要領」が文部科学大臣に建議されたことで、今後は横書きの公用文でも読点「、」を使うことになるでしょう。
冠婚葬祭や年賀状では句読点を使わないのがルール
冠婚葬祭や年賀状などのおめでたいイベントでは、句読点を使うことが失礼に当たります。催事で書く文書には、原則句読点を使わないようにしましょう。
句読点は、文章を区切ったり終わらせたりするために使うものです。そのため、おめでたいことに区切りがつかないように、ゲン担ぎとして昔から句読点の使用が避けられてきました。
ほかにも表彰状などには句読点が使われていませんから、作成の際には気を付けましょう。
原稿用紙では改行前の文末に句読点を使うのがルール
原稿用紙で執筆する際は、行の一番初めに句読点を使わないのがルールです。
文字数の関係で、原稿用紙の一番上のマスに句読点が来てしまう場合は、1行前の最後のマス内に句読点を打つようにしましょう。
まとめ
この記事では、読点の使い方をまとめました。要約すると、ポイント下記の4点です。
- 読点は文章の意味をわかりやすくし、読みやすいリズムを作る
- 基本ルール6か条を守れば、読みやすい文章が書ける
- 一文一義を心がければ、自然と読みやすい文章になる
- 句読点を使わないほうがよい場面がある
読点の役割や使い方を改めて理解することで、より読みやすく、説得力のある文章に近づきます。当記事を参考に、読点の使い方をマスターしていきましょう。