【誤りやすい文法】たりたりの使い方を例文を用いて徹底解説!

【誤りやすい文法】たりたりの使い方を例文を用いて徹底解説!

文章を書いていると、「たり」の使い方が間違っていると指摘されたことはありませんか?実は「たり」は、文章のプロであるライターでも、往々にして使い方を誤る表現なのです。

そこで当記事では、「たり」の使い方を、現役Webライター・編集者が、例文を使いながら徹底解説します。文章を書くうえで「たり」の正しい使い方がわかりますから、フォーマルな文章作成をする方やライターとして仕事をしている方は、ぜひご一読ください!

目次

たりたりとは、並列を表す文法表現

「たり」は、並列するいくつかの動作を並べるときに使われる文法表現です。たとえば並列の「たり」を使った文法表現として、次の例文を見てみましょう。

例文

私は今日、映画を見たり、公園で遊んだりしました。

上記の文章では、「映画を見に行くこと」と「公園で遊ぶこと」の2つの事柄について話していますね。

では次に、「たり」の使い方を誤った例文を見てみましょう。どこが誤っているかわかりますか?

悪い例文

私は今日、いとこと家で映画を見たり、小さい頃によく遊んでいた近所の公園で遊びました。

先ほどの文章と同様に「映画を見たこと」と「公園で遊んだこと」についての文章ですが、「たり」が一度しか使われていません。日本語文法に従えば、後半の公園の話題で「公園で遊んだりしました」と書く必要があります。

他にも「たり」を使うときには、いくつかのルールがあります。以下で正しい使い方を紹介しますから、今まで正しく使えていたか、チェックしながら読んでみてください。

たりたりの用法。文法的に正しい使い方

「たり」の主な使い方は、下記の3つのルールが挙げられます。

  • 並列で使うときは、省略しない
  • たりは、複数回つかってもOK
  • 例示で使うときは、単体でも使える

日本語に造形が深い人からすると、「たり」のルールが守られていない文章を読むと、気になってしまうものです。場合によっては、信用性を疑ったり、幼稚な印象を受けたりすることもあるでしょう。

以下の使い方をマスターし、「あ、この人はわかっている人だな」と印象をあたえましょう。

並列で使う場合は、省略しない

いくつかの事柄を「〜したり」で並べるときは、並列するすべての動詞に「たり」を付けましょう。「たり」が正しく使われている文章と、誤って省略されている例文で確認します。

例文
  • 私は今日、映画を見たり、近所の公園で遊びました。
  • 私は今日、映画を見たり、近所の公園で遊んだりしました。

例文のうち正しいのは、「たり〜たり」とくり返している下の文章です。

例文はシンプルにしていますが、通常は「見たり」と「遊んだり」の間にいろいろな言葉が入っているものです。動詞同士の距離が長くなればなるほど、「たり」を省略しがちですから気を付けてくださいね。

僕がライターさんの文章をチェックすると、後半の「たり」が漏れていることがほとんどです。編集者の校正が入っているはずの紙の本でさえ、省略されていることもあります

高頻度で間違われやすい表現ですから、「たり〜たり」と重ねるだけでも十分に文章力をアピールできるでしょう。

たりは、複数回つかってもOK

「たり」は、1つの文章で複数回使ってもOKです。「たり」を使う回数が文法的に決まっていませんから、基本的に何回使っても文章が破綻することありません。

たとえば次のような文章は、文法的に正しいものです。

例文

私は今日、ダーツをしたりサッカーをしたりボウリングをしたりランニングしたり散歩したりしました。

上記の文章では、ダーツ・サッカー・ボウリング・ランニング・散歩をすべて並べています。読みやすいか否かは別にして、文法的にはたりを連続しても問題ありません。

とはいえ、あまりにも「たり」を多く使いすぎると文章がムダに長くなりすぎたり、結局なにを伝えたいのかわかりづらい文章になったりします。目安としては、一文で「たり」を使うのは3回までと覚えておきましょう。

例示で使う場合、単体でも使える

並列で使われることの多い「たり」ですが、他にも例示を表す表現でもあります。例示として使う場合は、「たり」を重ねる必要はありません

例示とは、並列する動作をすべて書くのではなく、ひとつだけ例に挙げて、読み手に「他にも何かしたのかな」とほのめかす文法表現のこと。たとえば、次のような文章を見てみましょう。

例文
  • 私は今日、いとこと家で映画を見たりしました。
  • 私の仕事では、お客様を案内したりします。

上記の文章では、「映画を見たこと」以外にもなにかしたことを暗示していますね。「いろいろなことをしたけど、そのうちのひとつとして映画を見ました」のようなニュアンスが伝わります。

2つ目の文章では、「お客様を案内すること」以外にも仕事があることを示唆しています。

「たり〜たり」と重ねるのが原則ですが、例示の場合「たり」を付ける動作はひとつだけ。このような「他にもあるうちのひとつです」のようなニュアンスを伝えたいときは、たりを使ったりしてOKです。

例文あり!たりたりの言い換え表現

「たり」は便利な表現ではありますが、文章によっては読みづらくなることもあります。また「たり」を乱発すると、読み手に単調なイメージをあたえることもあるでしょう。

そこでここでは、たりを使った表現を言い換える方法を、例文付きで紹介します。

  • 動詞を名詞に言い換える
  • 複数の動作をひとまとめにする
  • 文章を区切る

「たり」以外の文章表現も適度に使い、自然に読みやすい文章を書いていきましょう。

動詞を名詞に言い換える

「〜したり」が付いている動詞を名詞に言い換えることで、文章の味変ができます。たとえば下記の2つの例文は、どちらも同じ意味を表しています。

例文
  • 先週末、私は本を読んだり、外を歩いたりして過ごしました。
  • 先週末、私は読書や散歩をして過ごしました。

下記の文章では、「たり」を使わずに2つの動作を表していますね。文字数も減り、読みやすい印象になりました。

日本語において、動詞と名詞には互換性があるケースが多いため、迷ったら動詞を名詞に変えることを検討しましょう。

複数の動作をひとまとめにする表現

並列するいくつかの動作をひとまとめにする言葉に言い換えれば、「たり」を使わずに複数の動作を表せます。ここでは例文を2つ紹介しますね。

例文
  • この部屋では、食べたり飲んだりしないでください。
  • この部屋では、飲食しないでください。

上記の文章では、「食べたり」「飲んだり」という2つの動作を「飲食する」でまとめています。意味はまったく同じですが、よりシンプルになりました。

例文
  • 関係者以外は出たり入ったりしないでください。
  • 関係者以外は出入りしないでください。

同様に「出たり」「入ったり」という動作を「出入り」という言葉に置き換えています。

適切な言い換え表現がある場合にしか使えませんが、文章がよりスマートになりますから、動作をまとめてくれる言葉はないか考えてみましょう。

文章を区切る

「たり」を何回も使うことで文章が冗長になるときは、一度文章を区切るのもいい方法です。

例文
  • 今日はサイクリングをしたり、海辺で遊んだり、旅館で卓球をしたりしました。
  • 今日はサイクリングをしたり、海辺で遊んだりしました。そのあと旅館で卓球をしました。

1回文章を区切ると時系列の流れも正確に表現できますから、より意味が伝わりやすい文章になりますよ。

たりたりの文法をマスターして、正しい文章を書こう!

当記事では「たり」の正しい使い方を説明しました。簡単に内容をまとめると、次のとおりです。

  • 複数の動作を並べるときは、すべての動詞に「たり」をつける
  • 「たり」は一文で複数回使ってもよい
  • 「たり」を単体で使う例示の文法表現もある
  • 言い換え表現を使うことで、文章がシンプルになることもある

「たり」の正しい使い方はシンプルで「たりを使ったらたりを重ねる」こと。この基本ルールを頭に刻み、「たり」を見つけたらペアとなる「たり」を探す意識をしてみましょう。

簡単に文章力をワンランクアップさせられますから、当記事を参考に「たり」の正しい使い方をマスターしましょう。

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