「することができる」は冗長表現?基本は「できる」に言い換えるべし

「することができる」は冗長表現?基本は「できる」に言い換えるべし

この記事では、可能表現として使われる「することができる」について解説していきます。

初心者ライターさんはとくに使いやすい表現はあるものの、編集者の好みが分かれやすい表現ですから、基本的には使わないが無難です。

そこでこの記事では、「することができる」の文法的なお話や「できる」との違い、逆に「することができる」を使うべきケースについてお話します。

目次

「することができる」は文法的に間違いではない

「することができる」という表現自体は、日本語文法として誤りではありません。

一例として「食べることができる」を構造に分解してみましょう。

  • (主語)食べることが
  • (述語)できる

上記のようにきちんと主語と述語の関係として成り立っていることが分かります。

「頭痛が痛い」のような重複表現にも当てはまりませんし、文法上「することができる」は間違いとは言えませんから、はっきりと使ってはいけないと言えるものではないと分かります。

冗長表現として嫌われる

しかしWebライティングの世界では、一般的に「することができる」は冗長表現として嫌われます。要するに、回りくどい表現だということですね。

というのも「することができる」は、英語の「be able to do」を和訳したときに生まれた表現だと言われています。

  • be→が
  • able→できる
  • to→こと
  • do→する

このように、単語ひとつひとつに訳を当てはめることを逐語訳といいますが、逐語訳ではどうしても不自然な日本語になりがちです。

海外文学のニュアンスをそのまま伝えたい場合には有効であるものの、普通の文章、ことWebの文章ではよりシンプルに表現するのがベターです。

そのため言い換えられるものに関しては、「できる」「られる」という表現に変えるのが無難です。

読み手に解釈を誤解されにくい

とはいえ「することができる」には、読み手が文章の意味を誤解しにくい、というメリットがあります。

例えば「食べることができる」を「食べられる」といい換えた場合、文脈によって下記のような意味になりえます。

  • 可能→私は一食あたりにご飯を3杯食べられる
  • 尊敬語→上司が食べられる
  • 受動態→アンパンマンが食べられる

「食べられる」と表記した場合、読者は文章の流れを理解したうえで、その意味を考える必要があるため、若干読みにくさを覚えることもあります。

一方「食べることができる」と表したのならば、意味は可能表現にしかなりえません。ですから読み手が意味を解釈する必要はなく、スムーズに読み進められるわけですね。

このあたりはメディアのレギュレーションによるところもありますから、編集者の指示を聞くようにしましょう。

「することができる」と「できる」の違い

では「することができる」と「できる」には、どんな違いがあるのでしょうか。

文法的な構造と、それにともなう意味合いの観点から考えていきましょう。

「することができる」は、行動がメイン

「することができる」では、対象となる行動に焦点が当てられます。

例えば「私は書くことができる」という一文で考えてみましょう。

  • 私は→主題
  • 書くことが→主語
  • できる→述語

文章におけるテーマを主題といいますが、上記の文において「私」は主題に当たります。仮に「私」を主語と考えてみても「私はできる」と意味が通じないため、「できる」の主語はあくまでも「書くこと」です。

よってこの文章では、「私」よりも「書くこと」にスポットが当たりやすく「私という人物よりも書くことに注目してほしい」といった印象になります。

「できる」は主体がメイン

一方「できる」では、行動の主体が主役になります。

同様に「私は書ける」を構造に分解してみますと

  • 私は→主語
  • 書ける→述語

上記のように、主語と述語のわかりやすい構造に分解でき、「書く」の主体である「私」が主語となることが分かります。

ですから「できる」を使った場合は「書くことができるのはAさんでもBさんでもない、私ですよ」のように人物にスポット当たります。

「することができる」を使うべきケース

基本的に冗長表現として嫌われる「することができる」ですが、文脈によっては「できる」よりも適していることもあります。

基本的にはよりスマートな「できる」を、以下の場面では「することができる」をと、適切に用いていきましょう。

選択肢を与える場合

まずは選択肢を与える場合です。

「することができる」には、「やりたかったらできるけど、しなくてもいい」のようなニュアンスを含みます。

ですから例えば「このパソコンではWebライティングができる。動画編集することもできる。」のように、選択権を委ねたいケースでは使うこともあります。

行為を強調する場合

2つ目は、行為を強調したいとき。

前項で検討したように、「することができる」は行為や動作にスポットが当たります。ですからある行動を強調したい場合には、「できる」よりも「することができる」のほうが正しいニュアンスに近づきます。

下記に同一の文章を「することができる」と「できる」の2パターンで表してみました。ニュアンスの違いを味わってみましょう。

することができるの使用例
  • 図書館では電話をかけることはできない
  • この掃除機を使えば、こびりついたホコリも一発で吸い取ることができるんです!
できるの使用例
  • 図書館では電話をかけられない
  • この掃除機を使えば、こびりついたホコリも一発で吸い取れるんです!

もちろん「できる」でも構いませんが、行動が禁止されている場合や商品の特定のスペックを強調したいときには、少々淡白に映ります。

「することができる」は好みが分かれるから、使わないのが無難

特定のケースでは使うことがあるものの、基本的には「することができる」を使わないことをおすすめします。

文法上誤りではない以上、編集者の好みに多分に左右されます。Webライティングの世界では、一般的に回りくどいとして嫌われる表現ですから、「できる」に言い換えるように意識してみてください。

もしもメディアのレギュレーションやルールに記載がなければ、編集者に直接聞いてみてもいいかもしれませんね。

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