- 「や」の使い方を例文つきで知りたい!
- 「AやBやC」は文法的にOKなの?
- 並列助詞「と」「か」「や」を使い分ける方法も知りたい!
当記事では、現役Webライター・編集者が、並列助詞「や」の使い方や3つ以上並べるときのポイントを解説します。さらに「や」以外の並列助詞についても、例文つきで使い方をわかりやすくまとめました。
たった1文字の並列助詞が違うだけで、文章自体のニュアンスがごろっと変わることも少なくありません。本記事を参考に、並列助詞を使いこなしていきましょう。
「や」の使い方・意味とは?日本語の基本をおさらい
「や」は名詞と名詞をつなぐ並列助詞です。並列助詞は、AやBのように、2つ以上の事柄を同列に扱うために用います。
実際に例文で「や」の使い方を確認しましょう。
手紙を書くには、紙やペンが必要です。
上記のケースでは、紙とペンは対等な関係ですよね。
「手紙を書くには、紙が必要です。さらにペンも必要です。」と、2つの文章に分けなくても、並列助詞「や」を活用すれば、よりスマートな文章が作れます。
「や」を3つ以上使っても良いが、読点を使うほうが読みやすい
3つ以上の名詞並べる際に、すべて「や」で並列するのも文法的に問題はありません。しかし読みやすさの観点から言えば、読点「、」を使うのがおすすめ。
3つ以上の事柄を並べる際、助詞「や」のみの文章と、読点をまじえた文章を読み比べてみてください。
仕事では、報告や連絡や相談が大事です。
仕事では、報告や連絡、相談が大事です。
「や」だけの文章では「報告、連絡、相談」というかたまりがイマイチわかりづらいはず。文章のリズムも悪く、歯切れの悪い印象になります。
一方で、読点を打った例文では、連絡と相談の間に間が生まれるため、音読するときも読みやすくなるでしょう。
「や」は最初と2番目の事柄の間に置く
3つ以上の事柄を「や」と読点でつなぐ場合、「や」は最初と2番目の間に置くのがルールです。
名詞が4つ以上のときもやり方は同じで、まず2つの事柄を「や」でつなぎ、読点でそれ以降を並べます。
つまり「AやB、C、D」が正しく、下記のような使い方は誤りです。
- A、BやC、D
- A、B、CやD
- AやBやC、D
- AやB、CやD
具体的に例文で見てみましょう。
英語や国語、数学、理科、社会をまとめて5教科といいます。
事柄を並列する時は、すべて「や」でつなぐか、「AやB、C、〜、N」でつなぐかの2パターンあると覚えておきましょう。
言葉の順番には注意!「や」の効果的な使い方
「や」を使うときには、順番に配慮すると意図に沿った文章に近づきます。
並列助詞は名詞を対等に並べる役割がありますが、並べる順番によって読み手の印象は変わるもの。
仕事を効率化するには、時間管理や集中力、目標設定、環境づくりが重要です。
上記の例文の語り手が仕事の効率化に一番重要だと思っているものは、おそらく環境づくりではなく時間管理でしょう。
読み手にとっても最初の情報のインパクトが強く残り、真ん中の事柄の印象は弱くなる傾向にあります。つまり強調したい内容があるなら、できるだけ前に書くことをおすすめします。
あなたの意図が読み手に伝わる文章を書くためにも、名詞の並べ方に気を配ってみてください。
間違ってない?並列助詞の使い方を例文つきで解説
ここでは下記の6パターンに分け、並列助詞の使い方を例文付きで解説します。
- や|列挙
- と|総記
- か|選択
- に|添加
- も|累加
- たり、やら、だの、とか|列挙
どれも事柄を並べる、という役割は変わりませんが、実は細かいニュアンスは助詞によって異なります。伝えたいニュアンスに合わせて並列助詞を使い分け、より意図に沿った文章を書いていきましょう。
や|列挙
「や」は、2つ以上の事柄を列挙するときに用いる並列助詞です。
- 弊社では、京都や大阪を案内できます。
- 良い文章には、簡潔さやリズムなどが必要。
並列助詞「や」は、部分的に例を挙げるニュアンスを持ちます。
1つ目の例文では「京都、大阪」の他にも、たとえば奈良や兵庫も案内できるかもしれない、という含みがありますよね。
それを正確に表現するには「京都や大阪、奈良、兵庫を案内できます」となりますが、情報を多くなればそれだけ読み手は混乱します。とくにおすすめしたい京都と大阪に絞り、例文のようにまとめると文章がスッキリしますよね。
このように、「や」には「これ以外にもあるけど、列挙したものが重要」という意味合いが含まれます。
情報を絞って伝えたいときや、言い切りを避けたいときには「や」が適しています。
と|総記
「と」は、当てはまるものをすべて挙げるときに使う並列助詞です。
- 弊社では、京都と大阪を案内できます。
- 良い文章には、簡潔さとリズムが必要。
「や」とは異なり、この会社が案内できるのは「京都、大阪」だけであり、それ以外には対応してもらえない、と捉えられますね。
2つ目の例文では「簡潔さとリズムがあれば良い文章を書ける」という意味合いになります。
「と」はより言い切りに近い形になるため、強調したいときに適してます。
ただし、限定的にすることで読み手は「簡潔さとリズムだけあれば良い」と解釈します。いい文章という抽象的な表現や、言い切りを避けるべきときに使うのは少々リスキーです。
あくまでもすべて列挙できる、定量的なケースにのみ使うことをおすすめします。
か|選択
「か」は複数のものを並べ、どちらかを選択するように促す並列助詞です。
- 弊社では、京都か大阪を案内できます。(どちらを選びますか?)
- メールか電話、どちらで連絡しますか?
1つ目の例文では、案内できる場所は「京都、大阪」のどちらか片方だけであり、両方は選べないことがわかりますね。
2つ目の文章でも、連絡手段として、メールか電話のどちらかを選ぶように催促しています。
このように、相手にどちらか一方を選択してほしいときに用いるのが「か」です。
注意点は、過去の事柄に使わないこと。選択を伴う表現ですから、たとえば「メールか電話で連絡しました」のように使わないようにしましょう。
に|添加
「に」は、時系列順につけ加えていくときに使う並列助詞です。
- 昨日は英語に数学、社会の宿題を終わらせました。
- レストランのコース料理は、前菜にスープに焼き物にデザートだった。
1つ目の例文であれば、宿題に取り組んだ順番は「英語→数学→社会」だと考えられますし、2つ目の文章であれば、コース料理は「前菜→スープ→焼き物→デザート」の順に楽しんだとわかります。
また、「や」や「と」とは異なり、「に」は部分的な話なのか、すべてを表しているのかはわかりません。思いついた事柄を思いつくままにつけ加えていくようなイメージで用いる表現です。
も|累加
「も」は、当てはまる事柄を並べ挙げる役割をもちます。
- 弊社では、京都も大阪も案内できます。
- メールするのも電話するのも面倒。
思いつくまますべて挙げる、という観点で言えば「に」と使い方が似ています。両者の違いは、語り手にすべて挙げる意図があるかどうか。
1つ目の例文なら、語り手は案内できる箇所をすべて挙げようと努力していることがわかります。一方「京都に大阪に…」であれば、とりあえず思いついたものから挙げている、というニュアンスになります。
「AもBもCも(すべて)」と、思いつくものをすべてリストアップする際には、「も」を使いましょう。
たり、やら、だの、とか|列挙
「たり、やら、だの、とか」は、2つ以上の事柄を並べるときに使う並列助詞です。
- メールしたり電話したりする。
- メールやら電話やら面倒だ。
- 赤だの青だの種類が多い。
- 京都とか大阪とかを案内できるよ。
「たり」は例文のように「〜たり、〜たり」とくり返すのがルール。後半の「たり」は省略されがちなので、注意しましょう。
「やら、だの」は、ネガティブな意味合いで使われることが一般的です。たとえば3つ目の例文からは、種類が多いことに不満を感じていることが伝わってきますよね。
「とか」は、「や」をフランクにした表現で、より話し言葉に近づきます。そのため上司などの目上の人や、お客さんに使うのにはふさわしくありません。
このように、並列助詞ひとつとっても、適したシチュエーションや伝わるニュアンスはそれぞれです。あなたが伝えたいことや気持ちに合わせて、ふさわしい並列助詞を選んでみてください。
まとめ|並列助詞「や」を操り、意図に合う文章を書こう
並列助詞「や」は、文法上いくつ使っても問題ありませんが、読点に置き換えることでリズムが生まれて読みやすい文章になります。
「AやB、C、D」のように、適度に空白を作ることで、読者が文章を読むハードルも下がりやすくなります。
また「や」は、全体の一部を列挙するシチュエーションに適した並列助詞です。すべて挙げたいときや選択を促したいときには、それぞれ「と」、「か」を用いるなど、TPOに合わせて並列助詞を選ぶことがポイントになります。
あなたが伝えたい内容を正しく伝えるためにも、並列助詞に気を配ってみてくださいね。